家系ラーメンのための麺とは！

その製麺所は、家系ラーメンの歴史とも言われる。全国の数百店の名だたる家系ラーメン店で重宝されるストレート麺。

モチモチとした独自の食感をもつこの麺は、他の麺より短く、コシがあり、スープによく絡む。

東京都大田区の酒井製麺は、家系ラーメン専用の麺を作り続けている。家系ラーメンの大ファンは、店は製麺所の箱を見て決めろとささやいている。

京急蒲田駅近くに工場を構えている。朝晩休みなく稼働し、1日約3万玉の中華麺を作っています。家系専用との通り、ほぼ全てが家系ラーメン店に出荷している。

元はうどんの製麺所。3代目社長となった酒井宏さんが、駆け出しの経営者だった頃のことでした。中華麺の最初の納品先が、平和島のトラックターミナルにあった、ラーメンショップ店だった。

自分で麺を運んでいた酒井さんはある日、元気のよい男がラーメンショップ店を手伝っていることに気づいた。その後吉村家を始める吉村実さんだった。

店を辞めた半年後、吉村さんから電話がかかってきた。横浜で店を出す。麺を卸してくれ。

勢いに押され取引を始める。直感で売れると予感したそうだ。横浜の店から何度も製麺所に通ってきた吉村さん。材料のバランスや加水の量、練り時間などを変えながら、家系ラーメンのための麺を作っていった。

中途半端な面を作ると、吉村さんがどなりこんできた。半日以上、工場で従業員を見張っている時もあった。一番良い出来上がりのものを作るという気持ちに負けた。

生産量は着実に増え、苦心の末にたどり着いた面はいつのまにか、直系店や吉村家で修行し、独立した店で使われる、ブランド麺になっていた。

麺を卸してほしいという話はたくさんくるが、吉村家の流れの店しか卸さない。それは吉村さんと苦労して作り上げた麺という思いがあるからだ。

毎日、たくさんの卸先と電話し、店主と直接やりとりするのも、クレームや感想をじかに受け止めるため。期待に応える麺をつくるのが義務。

今でも完成形の麺では無いと酒井さんは言う。いつまでも美味しいと言ってもらえるために終わりはない。

家系ラーメン麺